現在、世界中に猛威をふるっている新型コロナウィルス(Covid-19)により多くの人たちが苦しんでいます。少なからず、我々ペット業界にもその影響が広がり始めています。
最近、多くのドッグオーナーさんから新型コロナウィルスは犬に感染するか否かの質問がたくさん寄せられます。私は獣医療従事者ではありませんので、個人的な発言や見解は避けさせていただきたいと思います。
しかし、ドッグトレーナーという立場から、一般的な現場レベルの状況把握に加え、予防対策などのアドバイスをさせていただければと考えています。
結論から言うと「Covid-19は犬にも感染する」または「感染する可能性大」です。未だ、明確な答えは出ていませんが、現在、香港の犬が新型コロナウィルスに感染したとの報告がネットニュースで話題になっています。
感染ルートや感染経緯などを検証する必要はありますが、現在、香港で飼育されている1頭の犬が新型コロナウィルスに感染したとの報告が上がっています。
オーナーの女性が新型コロナウイルスに感染していたことが確認され、そのあと、この犬は動物の検疫施設で隔離されていましたが、2月26日から3月2日にかけて行われたウイルス検査で口や鼻から弱い陽性反応が繰り返し出たということです。しかし、人間にみられる発熱や咳などの症状は出ていないと報告されています。
では日本の症例はどうでしょう。
現在のところ、日本国内では犬をはじめ猫などの家庭用ペットに感染したという事例は報告されていません。しかしながら、日本獣医師会の公式ホームページでは、「現時点では感染サイクルの主体は人ですが、感染した人と濃厚接触のあったペット動物への感染の可能性は否定できないと考えます」と発表しています。
したがって、新型コロナウイルス陽性となった飼い主と接触のあった犬については、飼い主と同様に人や犬等との接触を避け、仮に臨床症状が認められた場合には、かかりつけの獣医師とも電話相談のうえ、国立感染症研究所獣医科学部への問い合わせをしてください、と助言しています。
しかしながら、3月2日付けの西日本新聞のコラム欄には、「人間からペットにうつるリスクは非常に低い」と掲載されていました。マウスや豚、鶏のコロナウイルスを研究している宮崎大農学部獣医学科の山口良二教授(獣医病理学)は、香港政府の発表に懐疑的だ。
従来のコロナウイルスは動物も感染するが、もともと種特異性が強いものが多く、人に感染するものが種の壁を超えて他の動物にうつる可能性は低いという。
世界保健機関(WHO)も「現段階でペットなどが新型コロナウイルスに感染するという科学的根拠はない」とする。ただ、コロナウイルスは変異を起こしやすい。山口教授は「可能性は低いが、世界的に『ペットにも感染して症状が出た』という報告が増えてきたら注意が必要になる。まだ分からないことも多いため、気を付けて情報収集してほしい」と語っている。
仮に、飼い主に発熱など新型コロナウイルス感染が疑われる症状がある場合、どうすればいいのかの問いに対し、山口教授は「うつさないためにペットと離れて暮らす必要はない」との見解。
その上で「普段から動物を触る前後は手をよく洗い、 顔をなめられたら洗うなど当たり前の注意事項を守ってほしい。犬や猫は口でいろいろな物に接触するので、特に室内飼いの場合、人間の手指を消毒するように、口の周りや顔をウエットティッシュなどで拭いてあげて」としている。
まだまだ、人間に対する対策や治療方法も明確に決まっておらず、人からペットへの感染事例も極端に少ないため、今後は、日本獣医師会の公式発表を注意深く確認したい。
日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp/covid-19/
国立感染症研究所獣医科学部 https://www.niid.go.jp/niid/ja/
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