3、「警戒の吠え」の弱化トレーニング(上級編)

おそらく、一番多い吠えの種類で、多くのオーナーさんが悩んでいるのが、「警戒の吠え」ではないでしょうか。具体的に言うと、ピンポ~ンなど玄関のチャイムの音に反応して吠えてしまうケースです。来客や宅配、そして最近ではUber Eatsなど、その他色々な事情でチャイムが鳴ると思います。その度に愛犬がワンワンと吠え、外からの声が全く聞こえない場合もあるのではないでしょうか。

犬の心理状態または吠えにつながる学習過程を説明すると、犬が警戒の吠えを学習してしまう大きな要因の一つがこの宅配の配達員の存在です。配達員の方も、一所懸命仕事をしているだけなのですが、犬の心理状態は以下の通りです。

→「ピンポ~ン」(宅配で~す)


→「ワンワン」 (ン?何だ何だ?誰か来たぞ!)


→「ガチャ」 (ドアが開く音)
→「お荷物のお届でーす!」(配達員が玄関に来る)


→「ウ~、ワンワンワン!」(最初より吠えが強くなる)
→「ワンワンワン、ワンワンワン」(侵入しそうになるので、もっと吠える)


→「ありがとうございます!」(荷物を渡して、配達員が帰る)
→「ワン、ワン、ワン」(僕、偉いでしょう?不審者を追い返したよ)


このように、あなたの愛犬は吠えまくって不審者を追い返すという、立派な仕事をやってのけたのです。

愛犬は無駄吠えではなく、理由があって吠えていることはご理解いただけたと思いますが、では、どうすれば愛犬は吠えを弱めたり、理想的には吠えなくて済む状況になるのでしょうか。

トレーニング1
基本コマンドの練習。

「Come、Sit、Stay」など、普段から基本的なコミュニケーション・トレーニングを行う。オーナーの指示に従い遂行したら愛犬は褒められる。この当たり前の関わり合いがとても重要です。ご飯を与える時やお散歩など、日々の生活の中で愛犬と接する機会を見つけてたくさん練習してください。


トレーニング2
音に対する条件付け。

タッパーにおやつを入れ、振ってカチャカチャと音を鳴らしてください。(タッパーがない場合は、ペットボトルでも代用できます)愛犬がその音に気付き、あなたのもとへとやって来たら、無条件でおやつを1つあげます。この時与えるおやつは、普段はあげない特別なちょっと美味しいおやつが良いです。1日、30回を目標に練習してみて下さい。「カチャカチャ音=美味しいおやつ」と言う条件付けです。


トレーニング3
刺激レベルが低い順からの実践練習。

犬が吠えるきっかけは、生活音から発せられる刺激にあります。チャイムの音や人の気配、ドアのノックや開ける音などです。あなたの愛犬がどの刺激レベルに対して、吠えずに我慢できるかを判断してみて下さい。例えば、壁を軽くトントンと叩いた直後にタッパーをカチャカチャ鳴らしてみます。愛犬が吠えずにタッパー音(美味しいおやつの音)に意識を向けられたらその刺激はクリアーです。

吠えないのが当たり前ではなく、吠えない時はめちゃめちゃ褒めて、美味しいおやつを一つあげて下さい。

トレーニング4
周りの刺激レベルをあげながら練習。

人の気配やドアの開ける音など、刺激レベルの低い事象から徐々に刺激レベルを上げて練習します。新たな刺激に対しても、愛犬が吠えないまたは吠えを我慢してハグハグ言っている状態が見えたらタッパーを鳴らします。そして、愛犬があなたのもとへとやって来たら、たくさん褒めておやつを1つあげます。 タッパーを鳴らす場所は、なるべく玄関から遠い場所や愛犬のサークルなどを選びます。そして、SIT/Stayの指示を出してみて下さい。


トレーニング5
Sit/Stayの継続練習。

あなたのもとへとやって来た愛犬に対し、最初は3秒・次に5秒・10秒・20秒と、Stayの時間を長くする練習を行います。もしも、愛犬があなたの指示に従い、所定の場所で20秒間以上Stayができたら、愛犬の吠えはすでに50%以上減少しているはずです。


NY流テクニック>
基本コマンドの練習 →タッパーで美味しいおやつの音を教える →低刺激から始め吠えない分岐点を見つける  →おやつの刺激を優先させる →Sit/Stayの強化 

この練習では即効性を期待せず、時間をかけてゆっくりと吠えを減少させる方法です。毎日の練習で、ほんの僅かでも愛犬の吠えが減少すれば、3ヶ月後には50%減、6ヶ月後には90%減と効果が実感できるはずです。     

あきらめずに、毎日コツコツと練習することが上達への近道です!

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